特別セッション


下記の特別セッションを予定しています(11/19現在).

1.「Info-plosion(Information Explosion) and Information Credibility」(情報爆発と情報信憑性)

現在、我が国では、爆発する情報に立ち向かうためのサーチ/マイニング技術や、Web等の情報の信憑性/信頼性の分析検証技術について、大型の研究プロジェクトが進行中です。前者は、文部科学省情報爆発プロジェクト(科研費特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」(代表:東京大学喜連川優教授))であり、後者は、総務省情報信憑性プロジェクト((独)情報通信研究機構「電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術に関する研究開発」)です。これに関して、中国MSRAでは、大規模Webデータをベースに高度なデータマイニングクエリなどが扱える次世代のサーチエンジンのためのクラウドコンピューティング基盤の研究開発が、オーストラリアクイーンズランド大学では、データベースの品質の向上を目指した研究開発プロジェクトが行われています。これらは、情報爆発時代において、いかにして、知識爆発を起こさずに、知識の共有や循環を行うための基盤的技術であると位置づけられます。本特別企画セッションでは、このような情報爆発と情報信憑性の立場から、以下の4氏からの発表と討論を行います。

 ■ 喜連川 優 氏 東京大学

略歴:1978年 東京大学工学部電子工学科卒業.1983年東京大学工学系研究科情報工学専攻博士課程修了 工学博士.1983年東京大学生産技術研究所入所.2003年生産技術研究所 戦略情報融合国際研究センター センター長.

題目:「Who knows the credibility of information but info-plosion might help」


 

 
 ■ Hang Li 氏 マイクロソフト・リサーチ・アジア

略歴:Hang Li is senior researcher and research manager at Microsoft Research Asia. He is also adjunct professor at Peking University, Nanjing University, Xian Jiaotong University, and Nankai University. His research areas include natural language processing, information retrieval, statistical machine learning, and data mining. He graduated from Kyoto University and earned his PhD from the University of Tokyo.

題目:「Massive Data Mining for Product and Service Development」

概要:We are living in an era when massive data mining becomes to play an extremely significant role in product and service development. That means that research on massively parallel and distributed computing, large scale data mining and machine learning becomes even more important for the industry and the research community. In this talk, I will introduce how Microsoft takes this challenge and opportunity in its product and service development. As example, I will share the story of how data mining has influenced the design of Office 2007. I will also explain related research efforts made at Microsoft. I will give an introduction to an initiative on cloud computing pursued at Microsoft Research. Then, I will introduce our recent work on using large scale data mining for improving users' experiences in web search. Specifically, I will talk about our method of mining users' behavior data to compute page importance and our method of mining users' behavior data to perform context-aware search.


 

 
 ■ Xiaofang Zhou 氏 Univ. of Queensland

略歴:Professor Xiaofang Zhou is a Professor of Computer Science at the University of Queensland. He is the Head of the Data and Knowledge Engineering Research Group (DKE). He is also the Convenor of Australian Researh Council (ARC) Research Network in Enterprise Information Infrastructure (EII), and a Chief Investigator of ARC Centre of Excellence in Bioinformatics. Professor Zhou received his BSc and MSc degrees in Computer Science from Nanjing University in 1984 and 1987 respectively, and PhD in Computer Science from the University of Queensland in 1994. From 1994 to 1999, he worked as a Senior Research Scientist in CSIRO, leading its Spatial Information Systems group. His research focuses on finding effective and efficient solutions to managing, integrating and analysing very large amount of complex data for business and scientific applications. His research interests include spatial and multimedia databases, data quality, high performance query processing, Web information systems and bioinformatics.

題目:「Data Quality Research: From information explosion to knowledge non-explosion 」

概要:Data integration research has a long and mixed history. It becomes increasingly important today. There are a large range of methodologies and approaches from many different angles, such as software engineering approaches, standardization approaches, semantics approaches, and more recently the dataspace approaches. Data quality can be broadly defined as ‘the fitness for the intended uses of the data’. Data integration often causes mismatches between the intended uses and the actual uses of the data. Thus, improving and managing data quality is a fundamental and integral part of data integration research. In this talk, I will introduce the notion of data quality, from its root in management information systems research to new issues and challenges when dealing with large-scale, complex and highly diversified data sources. After a brief introduction to organizational and architectural solutions to the data quality problem, this talk will focus on the current research activities and results on computational solutions form the database community, including data linkage, data constraints, data provenance and data uncertainty.


 

 
 ■ 田中 克己 氏 京都大学,司会

略歴:昭和49年京大・工・情報卒、昭和51年同大学院修士了、昭和54年神戸大・教養部・助手、昭和61年神戸大・工・助教授、平成6年神戸大・工・教授、平成13年より京大・情報学研究科教授。京大・工博。主にデータベース、マルチメディア情報システム、Web情報検索の研究に従事。本会フェロー、日本データベース学会副会長、日本学術会議連携会員。現在、京大・グローバルCOEプログラム拠点リーダ、電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術に関する研究開発(課題ア:Webコンテンツ分析技術)研究代表者。

題目:「情報サーチと情報信憑性」(Information Search and Information Credibility)

概要:Web情報の信憑性に関する1000人規模の利用調査結果、情報のサーチと情報信憑性分析との関連、サーチエンジンの検索結果の信頼度判定、マルチメディア信憑性検証などについて述べる。


 

 
2.「企業の巨大データ徹底解剖 - 新たな研究の可能性と産学連携 - 」

ウェブの爆発的な拡大やICカードの普及によって、我々の身の回りには膨大なデータが存在するようになっています。中でも企業が有するデータは巨大なものとなり、サービス開発やビジネス展開にも積極的に活用されつつあります。アカデミアにとっても企業の巨大データは非常に魅力的な研究対象ですが、個人情報の保護や企業の秘密保持という大前提の前に、そもそも実際にどの企業がどのような巨大データを保有しているのか、そしてどのように活用しているのか、想像の域を出ないところもあります。そこで本特別セッション「企業の巨大データ徹底解剖 - 新たな研究の可能性と産学連携」では、実際に巨大データを有する企業や巨大データをすでに研究に 活用している他分野の研究機関から、中心人物をお招きし、巨大データに潜む新たな研究の可能性、そして巨大データ活用における産学連携のあり方につき発表・討論を行います。

 ■ 勝 芳邦 氏 ヤフー株式会社

略歴:1961年東京都港区生まれ。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了。理学修士(地球物理学〔海洋大循環数値モデリング〕)。デンマーク籍海運業系のマースク・データ・アジア(株)にてコンテナ船業務システムの設計開発とアジア全域への導入・サポートを主管。同社買収によりIBMに移籍、業務の移管統合を主導の傍ら、海運業コンサルティングの指導にあたる。 2006年ヤフー(株)入社後は、米ヤフーと連携しつつWebデータの戦略的利用アプリケーションの導入に一貫して従事。並行して東京大学、東京工業大学、横浜国立大学等での講演・講義等。

題目:Yahoo! JAPANが有する大規模ウェブデータ −研究用データの提供事例とYahoo! JAPAN内部での活用事例

概要:日本最大級の規模を誇るYahoo! JAPANには、多種多様なデータが膨大に集積されている。この大規模データの概要を紹介するとともに、すでに実施している研究用データの提供状況やAPI経由でのデータ取得方法にふれる。その上でYahoo! JAPAN内部でどのようにこれらのデータが活用されているのか、の実例を紹介し、同時に大規模データの活用における課題を論じる。


 

 
 ■ 前川 喜久雄 氏 独立行政法人国立国語研究所 研究開発部門

略歴:1984年上智大学大学院博士後期課程(言語学)中退.鳥取大学講師を経て,1989年以降は国立国語研究所に勤務。本来の専門は実験音声学であるが,ここ10年間は言語コーパスの開発に深くかかわるようになった.1999-2003年に『日本語話し言葉コーパス』を開発し,現在は『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を開発中である.文科省特定領域研究「日本語コーパス」領域代表者.一橋大学連携教授.

題目:「大規模言語資源の開発とその問題点(特に著作権処理について)」

概要:現代日本語の全体像を歪みなく反映したデータは従来存在しておらず,これが日本語研究にさまざまな悪影響を及ぼしてきた.この問題を解決するために我々は『現代日本語書き言葉均衡コーパス』という大規模な言語データベースを開発しているのだが,そこでもっとも大きな問題となるのが著作権処理である.今回の講演では我々の直面している問題を率直に紹介し,どのような解決策が考えられるかについて私見を述べようと思う.


 
3.「クラウドコンピューティングが変える世界とデータ管理」

 
 ■ 浦本 直彦 氏 日本IBM東京基礎研究所

略歴:1990年に日本IBM入社、以来同東京基礎研究所にて、機械翻訳、情報統合、XMLやWebサービス関連の研究開発に従事。現在は、SOAやWeb 2.0基盤におけるセキュリティーやパフォーマンスのプロジェクトをリードしている。博士(工学)。2000〜2005年、国立情報学研究所客員助教授兼務。著作に、XML and Java - Developing Web Applications(Addison Wesley、共著)などがある。

題目:「クラウド・コンピューティング - プログラミングモデルとデータアクセスを中心に -」

概要:クラウド・コンピューティングは、ネットワーク上にある計算機資源や情報サービスを、その場所や実装に関知することなく、必要な時に必要なだけ利用することを実現する技術とビジネスモデルの組み合わせを指す。Web基盤の進化形の一つとして、インターネットや企業内のデータ、ソフトウエア、サービスの利用形態や管理手法、そしてIT企業のビジネスモデルを一変させる可能性を秘めている。本講演では、クラウド・コンピューティングが生まれた背景やプログラミングモデルやデータアクセスなどの技術要素、サービスの類型などを紹介する。


 

 
 ■ 建部 修見 氏 筑波大学計算科学研究センター

略歴:平成4年東京大学理学部情報科学科卒業.平成9年同大学大学院博士課程修了.同年電子技術総合研究所入所.平成18年筑波大学大学院システム情報工学研究科助教授.現准教授.博士(理学).超高速計算システム,グリッドコンピューティング,並列分散システムソフトウェアの研究に従事.情報処理学会,日本応用数理学会,ACM各会員.

題目:「クラウドコンピューティングを高度化するストレージ技術」

概要:クラウドコンピューティングの登場により、ユーザは必要なCPU資源、ストレージ資源を手早く、柔軟に利用することが可能となった。クラウドコンピューティングを支える技術としては、CPU、ストレージの仮想化、およびWebサービスインタフェースによる管理、アクセスがかかせないが、現状では大容量のデータを高速に処理するためのストレージサービスが欠けている。本講演では、オープンソースで開発をすすめているGfarmファイルシステムを紹介し、これからのクラウドコンピューティングの発展を展望する。


 
4.「ユーザ発信型メディアの衝撃」

 
 ■ 後藤 真孝 氏 産業技術総合研究所

略歴:1998年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、電子技術総合研究所(2001年に産業技術総合研究所に改組)に入所し、現在、主任研究員。2005年から筑波大学大学院准教授(連携大学院)、2008年から統計数理研究所客員准教授を兼任。音楽・音声の音響信号の自動理解と、それに基づくユーザインタフェースの研究に興味を持つ。科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、ドコモ・モバイル・サイエンス賞 基礎科学部門 優秀賞、情報処理学会論文賞等、22件受賞。

題目:「PodCastle: ユーザに育ててもらう音声情報検索サービス」

概要:Web上の音声データを音声認識して、音声情報検索サービスを提供しようとしても、音声認識は、必ずどこかで認識誤りを起こす。そこで我々は、不特定多数のユーザにそれらの誤りを訂正してもらうことで、「ユーザの貢献を取り込む仕組み」を導入した。さらに、その訂正結果を学習して「ユーザの貢献を増幅する仕組み」も実現することで、音声認識・検索の性能を日々向上させていく研究アプローチ「音声認識研究2.0」を提案した。講演では、このアプローチに基づくポッドキャスト検索サービス「PodCastle」を中心に、この新たな試みを議論する。


 

 
 ■ 千野 裕司 氏 株式会社ドワンゴ

略歴:株式会社ドワンゴ 執行役員 研究開発本部長 ニコニコ動画開発総責任者。パソコン通信時代、ゲーム開発集団 Bio_100% で活動。その後各種プラットフォームでゲーム・ビジネスソフト企画開発ののち、1998年ドワンゴ参画。ネットワークゲームクライアント/サーバ開発を担当しながらマネジメントに転向。2007年より現職。

題目:ニコニコ動画(仮)〜(秋)の軌跡、そして(ββ)

概要:単なる動画"共有"サイトを超えた、ネットユーザーの新しい居場所を目指しつづけるニコニコ動画。本セッションでは、12月某日予定の「ニコニコ動画(ββ)」の内容を一足先に紹介し、(仮)〜(ββ)までのニコニコの歴史・事件、サービス・コンテンツ・権利者との関係等を示しながら、それらを支えるアプリケーション、インフラ、体制など技術視点で解説する。


 

WebDB Forum 2008