司会: | 山名早人(早稲田大学) |
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講 演 概 要: | ユビキタス社会では、あらゆるモノ、人、空間がネットワークにシームレスにつながり、それらをエンパワーする様々なユビキタスサービスが実現されてきている。スマートなサイバーフィジカルカップリング機構は、従来のフィジカル空間とサイバー空間をセンシング(S)、プロセッシング(P)、アクチエーション(A)といったSPAコンポーネントでカップリングさせることにより、双方向に連結できる機能を提供している。本講演では、スマートなサイバー・フィジカルカップリングが生み出すさまざまなユビキタスサービスの進化について、サイバーフィジカルコンピューティングの視点から議論する。 |
講 演 者: | 徳田 英幸様(慶應義塾大学環境情報学部教授 大学院政策・メディア研究科委員長) |
1975年慶應義塾大学工学部卒 同大学院工学研究科修士 1983年ウォータールー大学計算機科学科博士(Ph.D. in Computer Science) 1983年米国カーネギーメロン大学計算機科学科に勤務、研究准教授を経て、1990年より、慶應義塾大学環境情報学部に勤務。慶應義塾常任理事(1997-2001)、環境情報学部長を経て、現在、大学院政策・メディア研究科委員長・環境情報学部教授。主に、ユビキタスコンピューティングシステム、オペレーティングシステム、分散システムに関する研究などに従事。現在,日本学術会議連携会員、情報処理学会フェロー、情報通信審議会委員、情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会顧問、ネットワークロボットフォーラム会長、ユビキタスネットワークフォーラム技術部会長&電子タグ高度利活用部会長、UbiComp-Pervasive JSC委員などを務める。研究教育業績に関してMotorola Foundation Award, IBM Faculty Award, 経済産業大臣賞、総務大臣賞、情報処理学会功績賞などを受賞。 |
Web上で提供される各種サービスにおいては、その背後で扱われるデータ量が爆発的に増加しており、これらのデータを効率的に処理することがサービス向上に不可欠となっています。近年、分散ファイルシステム上で大規模データを処理するオープンソースソフトウェアとしてHadoopが着目されており、多くの企業で実サービスに用いられています。本特別セッションでは、実際にHadoopを用いた開発経験をお持ちの研究者・技術者の方々をお招きし、Hadoop関連技術の全体像と複数の企業での開発事例をご講演頂きます。
Why Hadoop? -情報インフラとしてのHadoopの性質- | |
講 演 概 要: | Hadoopは、大規模Webサービスやセンサーネットワークなど、日々巨大なデータが生み出されつづける場所で効率的にデータ処理を行うためのツールとして、さまざまな領域で普及しつつある。一方で、既存のツール(RDBMSや分散ファイルシステム)の枠組みでとらえようとすると、非常にわかりにくい側面もHadoopはもっている。その原因は、Hadoopは他の情報インフラと大きく異なる性質を有していることにある。本講演では、新たな情報インフラとしてのHadoopの性質を大まかに示し、なぜHadoopが必要とされているのかを明らかにする。あわせて、ネクスト・リッテル研究所における利用事例を紹介し、今後Hadoopの活用が期待される分野を提示する。 |
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講 演 者: | 清田 陽司様(株式会社ネクスト リッテル研究所 所長、 東京大学情報基盤センター学術情報研究部門 特任講師) |
自然言語処理アプリケーションおよび情報検索技術の研究者。利用者の情報リテラシーを高めるための技術に興味を持ち、Web情報と図書館情報の融合、大量のユーザ行動データを利用した情報レコメンデーションなどのテーマに取り組んでいる。2007年 産学連携ベンチャー リッテルの起業に携わり、国立国会図書館リサーチ・ナビhttp://rnavi.ndl.go.jp/などのシステム開発に携わる。2011年 不動産情報ポータルHOME'Sを運営する株式会社ネクストに設立されたリッテル研究所の所長に着任。東京大学情報基盤センター特任講師を兼任。1975年福岡県生まれ、1998年 京都大学工学部卒、2004年 京都大学大学院情報学研究科博士課程修了。2004年から2010年まで東京大学情報基盤センター助手・助教。博士(情報学)。http://twitter.com/kiyota_yoji |
AmebaサービスにおけるHadoopおよび関連プロダクトの活用 | |
講 演 概 要: | サイバーエージェントが運営するAmebaサービスではアメーバブログの「アクセス解析」(サービスの名称)などにおいて、Hadoopが広く知られる以前からHadoopを利用してきております。Ameba Technology LaboratoryではAmebaサービス全体のログ解析基盤システムをコア技術としてHadoopを採用して構築いたしました。HadoopをSQLライクな言語で扱うことができるHiveを中心に、どのようにしてログ基盤システムを構築したかをお話しさせていただきます。また、Hadoop関連プロダクトの利用事例もいくつかでてきておりますので、この機会にご紹介できればと思っております。 |
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講 演 者: | 福田 一郎様(株式会社 サイバーエージェント アメーバ事業本部 Ameba Technology Laboratory 研究室長) |
1983年鳥取県生まれ。東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了。2008年株式会社サイバーエージェント入社。アメーバピグなどの開発、運用を経て、2010年よりHadoopを用いたアメーバサービスのログ解析基盤の設計、開発、運用を行う。2011年4月より秋葉原にAmeba Technology Laboratoryを開設。ログ解析・データマイニング・検索・機械学習など大量データを扱い、サービスに活かすための部署を設立し、現職。 |
大規模な機械学習の実現 | |
講 演 概 要: | Hadoopの登場により、大規模データ処理の敷居はとても低いものとなった。これまで、データマイニングをはじめとする高度な分析や、大量の非構造化されたデータに対する分析は、高価なものであった。その敷居が低くなることにより、そして、処理コストが安くなることにより、今まで大規模データ分析が十分には適用されてこなかった分野でも活用され初めている。とはいえ、まだ、大規模データ分析の一般化ははじまったばかりであり、どのような分析が可能なのか、そして、ビッグデータに対してどう立ち向かえばよいのか、ということをこれから考えていかなければならない。そのような大規模データ分析の一つの重要な技術分野として、機械学習がある。PFIでは、機械学習の大規模化を目指して、Hadoopを利用した実ビジネスへの応用、そして、機械学習に適した新しい分散システムの開発を行っている。本講演では、大規模分散システムによって現実のものとなる、新しいコンピューティングの世界を示す。 |
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講 演 者: | 西川 徹様(株式会社 Preferred Infrastructure 代表取締役社長) |
株式会社Preferred Infrastructure(PFI)代表取締役。2006年の大学院在学中にPFIを設立。 大学・大学院時には大規模な並列処理システムの研究を行う。 その後、PFIでは、情報検索システムの開発や、機械学習・自然言語処理システムの大規模化・実世界への応用を行っている。 |
楽天におけるHadoop活用と、BIG Dataのビジョン | |
講 演 概 要: | 3万6000の店舗、8000万を超える商品、6000万を超える会員を擁する楽天市場においても、日々増大するデータを、より速く、より大量に、より効果的に解析し、サービスの精度を高めていく多様な仕掛けが行われています。また、楽天市場だけでなく、事業を横断する解析プラットフォームの構築等、グローバルな試みも行われています。本講演では、楽天市場におけるHadoopの活用例に触れつつ、楽天グループにおけるBIG Dataのビジョンについて解説します。 |
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講 演 者: | 森 正弥様(楽天株式会社 執行役員 兼 楽天技術研究所長) |
1998年,アクセンチュア株式会社入社.2006年,楽天株式会社入社.現在,同社 執行役員 兼 楽天技術研究所長として,研究開発組織のマネジメントに従事.情報処理学会,電子情報通信学会各会員.Rubyアソシエーション評議員. 経済産業省次世代高度IT人材モデルキャリア検討委員. 著作に「クラウド大全」(日経BP社、共著),「ウェブ大変化 パワーシフトの始まり」(近代セールス社)がある. |
司会:井上創造(九州工業大学)
開催趣旨:
震災復興やエネルギー問題,少子高齢化のように,今の日本が抱える問題は枚挙にいとまが無い.そのような中,震災時に種々のボランティアWebサービスが活躍したように,WebやDBに出来ることも多くあり,社会からの期待も大きいと思われる.
しかし,これまで「想定外」だった事象が想定内に入ってきた今,今後を予想し,行動することは容易ではない.本セッションでは,多様な立場の講演者および参加者が入り混ざって幅広く深い議論をすることによって,今後の日本の方向性を想像したい.
ボランティア情報データベースによる被災地支援 | |
講 演 概 要: | 東日本大震災をきっかけにボランティア情報による被災地支援のため、ボランティア情報ステーション(VIS、現在ボランティアインフォ)を立ち上げた。当初Wikiを利用して情報提供していたが、ユーザー面を廃し、APIによるデータ配信に切り替えたことで、Yahoo!やgooなどポータルサイトやエンジニアによってアプリが開発され、広くボランティア情報を届けることが可能になった。緊急時のデータベース設計と情報を広げる戦略、活動中に被災地から突きつけられた課題についても紹介する。 |
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講 演 者: | 藤代 裕之様(NTTレゾナント) |
1973年徳島生まれ。広島大学文学部哲学科卒、立教大学21世紀社会デザイン研究科修士課程修了。大学卒業後に、徳島新聞に入社。記者として、社会部で司法・警察、地方部で地方自治などを取材。2005年からNTTレゾナント(goo)。ニュースデスク、CGM編集長、gooラボ担当を経て、現在は新規サービス開発。NTT各研究所の研究のサービス化も担当。学習院大学・早稲田大学大学院非常勤講師。日本広報学会理事。 |
みんなでつくる復興支援プラットホーム sinsai.info とクライシスマッピング | |
講 演 概 要: | 2011年3月11日未曾有の大震災のなか、sinsai.infoは地震後4時間で立ち上がった。クライシスマッピングのUshahidiシステム上で、世界中からボランティアが貢献し、1万2千件を超える被災地からの要請・情報やボランティア情報が地図上にマップされて発信されている。また、ベースとなる地図は、ボランティアがWiki方式で作成するOpenStreetMapであり、被災後のリアルな地図を世界の人々の力で短時間に創り上げた。このようなコミュニティの力を結集させる実現技術や、プロジェクトからみえてきたコラボレーションを実現するオープンデータの力について紹介する。 |
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講 演 者: | 三浦 広志様 (一般社団法人オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン 代表理事 Sinsai.info 副責任者) |
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻 博士前期課程 修了。(株)NTTデータ基盤システム事業本部にて、2003年よりオープンソースソフトウエアを推進。日本OSS推進フォーラム人材育成部会長、独立行政法人情報処理推進機構 非常勤研究員などを務める。2008年オープンストリーマップジャパン主宰として、自由な地図データの普及・推進をリード。2010年一般社団法人オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン(OSMFJ)を設立し、代表理事に就任。2011年3月11日の東日本大震災にあたって、OSMFJ有志と共にsinsai.infoプロジェクトを立ち上げ、多くのボランティアの方々とともに、被災地の復旧・復興をITから支援。 |