情報処理学会CS領域功績賞受賞記念講演
ウェルビーイングと研究
講師
飯沢 篤志(リコーITソリューションズ株式会社)
概要
ウェルビーイングとは,心身ともに良好な状態を示す言葉である.このウェルビーイングと研究について考えてみたい.ウェルビーイングそのものの研究で得られた成果を踏まえた上で,データベース・データ工学分野では,ウェルビーイングに資する研究として,どのような研究があるか,この研究分野はウェルビーイングの観点からどう見えるのかを考える.そして最後に,研究を進める研究者自身のウェルビーイングについても考えてみる.
略歴
1980年東京大学卒業.1982年同大学修士課程修了.1982年より株式会社リコーにおいて,データベース管理システム,マルチメディアシステムなどの研究開発に従事.日本データベース学会理事,監事,副会長等歴任.
若手招待講演
個人と社会をつなぐAI技術:well-beingの最大化に向けて
講師
伊藤 寛祥(筑波大学図書館情報メディア系/人工知能科学センター)
概要
現代社会において,人間とAIの共生はますます現実味を帯びてきており,特にAIがどのようにして人々の「生きがい」や「well-being」に寄与できるかは重要な課題となっている.本講演では,AI技術を用いて人間の「好ましさ」を正確かつ効率的に推定し,その総和をいかに最大化するかという課題に焦点を当てる.具体的には,個人の嗜好を群衆の嗜好との関連性からベイズ最適化に基づいて効率的に推定する手法(HCOMP'23)や,個人の嗜好から社会の変化をマルチエージェント強化学習を通じてモデル化・予測するアプローチ(WWW'24)を紹介する.
略歴
2020年筑波大学大学院システム情報工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).人間参加型AIの研究に従事.情報処理学会,日本データベース学会,人工知能学会,ACM各会員.
高次元空間近似最近傍探索向けの隣接グラフ
講師
陸 可鏡(名古屋大学)
概要
一つの基礎問題として,近似最近傍探索(ANNS)は色々な分野に重要な役割を果たしている.高次元空間のANNS手法の中に,隣接グラフは優れた探索パフォーマンで,産業界によく使われている.今回の講演がこの隣接グラフを中心として行う予定である.まずは隣接グラフの構築と関連の改善手法を全般的に紹介する.そして,最近発表した隣接グラフベースのルーティング手法を説明する.
略歴
2021年北海道大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).現在,名古屋大学大学院情報学研究科特任助教.主に高次元ベクトルデータベースにおける近似最近傍探索の研究に従事.