下記の特別セッションを予定しています.

1. 「BaiduとNaverが語る 国内シェアNo1を実現する技術戦略」

  司会: 山名 早人 氏 (早稲田大学)

米国産の大手検索エンジンを押しのけて自国内でシェアナンバーワンのBaiduとNaver.それを可能にした技術戦略とは何か.企業技術者のみならず,研究者がそこから学ぶ事は多いはずです.井上俊一氏(バイドゥ株式会社代表取締役社長),森川 亮 氏(ネイバージャパン 代表取締役)を招聘し,その核心をお話しいただきます.

 ■ 井上 俊一 氏 バイドゥ株式会社 代表取締役社長

略歴:1993年上智大学理工学部電気電子工学科 学士号取得。1995年東京工業大学総合理工 学研究科精密機械システム専攻 工学修士号取得。 同年セコム株式会社インテリジェント・システムズ研究所入社。1998年エキサイト株式会社入社しCTOに就任。2004年ヤフー株式会社入社。検索事業部長として、Yahoo! Inc.と共同でウェブ検索(Yahoo! Search Technology)の開発や検索連動型広告の開発を行った他、Yahoo!知恵袋などのYahoo! JAPANの検索関連プロダクトの全指揮をと るなど、約10年間に渡り一貫して検索サービスの開発及びビジネス化に携わる。2008年より現職。

題目:「絵文字に強いバイドゥモバイル検索」

概要:日本のモバイルWebは独自の発展を遂げており、例えば、独自のネットワーク、HTML仕様、リンク構造を有している。バイドゥでは、モバイル検索サービスの向上ための調査・研究を続けているが、特に、日本独自の文化である「絵文字」に注目しており、絵文字を適切にインデックスし、検索結果として提示することにより、ユーザー体験の向上を図ることができると考えている。本講演ではその技術的詳細、具体的には、絵文字の使用状況、自動識別および自然言語処理を応用した自動意味推定の技術を紹介する。


 

 
 ■ 森川 亮 氏 ネイバージャパン株式会社 代表取締役

略歴:1989 年筑波大学卒業後、日本テレビに入社。システム部門配属後、メディア事業に携わる。1999年青山学院大学大学院MBA修了。2000年ソニー入社。新規 モバイルコンテンツ事業、ブロードバンド事業担当。2003年ハンゲームジャパン株式会社(現、NHN Japan株式会社)入社。2007年10月にNHN Japan 代表取締役社長就任。同年11月、ネイバージャパン株式会社設立に伴い、ネイバージャパン株式会社 代表取締役就任(NHN Japan 代表取締役と兼務)。

題目:「探しあう検索、NAVER」−韓国での成功要因と、日本での新たな挑戦」

概要:Google・Yahoo!を押しのけて、韓国国内で圧倒的シェアを誇る検索ポータル「NAVER」。後発からスタートして現在のポジションに至るまでの戦略とその系譜を解説するとともに、7月1日より日本でサービスを開始したNAVER.jpについて、システムと集合知の融合による新たな検索アプローチの紹介と今後の展望について述べる。


 

 

2.「日本のデジタルライブラリプロジェクト最前線 」

  司会: 岡本 真 氏 (アカデミック・リソース・ガイド株式会社)

今やデジタルライブラリは人類の資産としての価値を確立しており,またDBをはじめとする情報技術の貢献の余地が大きい分野です.デジタルライブラリは当初"American Memory"や"近代デジタルライブラリ"プロジェクト等,古い資料を電子化するところから始まりました.しかし,今やGoogle Book Searchや各種電子ジャーナルに代表されるように,全ての 図書と雑誌を電子化する方向に動いています.本セッションでは,蔵書のデジタル化を推進する国立国会図書館長の長尾真先生と,国内の雑誌論文を網羅的に検索できる"CiNii"の開発者、大向一輝氏に御登壇いただき,日本のデジタルライブラリプロジェクトの最前線について語っていただきます.

 ■ 長尾 真 氏 国立国会図書館長

略歴:1936年生まれ 工学博士 専門は自然言語処理、画像処理、パターン認識、電子図書館。 京都大学工学部電子工学科卒業、京都大学総長(第23代)、独立行政法人情報 通信研究機構理事長を経て、2007年4月から国立国会図書館長。

題目:「日本のディジタルライブラリプロジェクトの現在」

概要:国立国会図書館法改正、著作権法改正によって、国立国会図書館では権利者の許諾なく書物のディジタル化と国等のウェブサイトの情報収集ができるようになった。こうして本格的なディジタル化と電子図書館の建設へ向かって進み始めている。  そこで問題となるのは、スムースなディジタル化を行うための画像処理技術の開発であり、これらのディジタル情報から自動的にメタデータを抽出する技術を開発することであり、また情報媒体である各種メディア間の相互変換技術の開発である。さらに情報検索から事実検索へ、また取り出した情報の信頼性チェック等も大切である。理想の電子図書館の建設は、言語処理、画像処理、知識システム構築など、情報処理、人工知能等の研究にとって宝庫である。


 

 
 ■ 大向 一輝 氏 国立情報学研究所 准教授

略歴:1977年京都生まれ。同志社大学工学部卒業。総合研究大学院大学複合科学研究科博士課程修了。博士(情報学)。2005年国立情報学研究所助手、2007年同助教、2009年同准教授。2004年情報処理推進機構「未踏ソフトウェア創造事業」スーパークリエータに認定。大学院在学中に有限会社グルコースを設立し、現在株式会社グルコース取締役。セマンティックウェブやソーシャルウェブに興味を持ち、研究とソフトウェア開発の両面から関わっている。

題目:「学術ウェブをつくる - CiNiiのいま、これから」

概要:国立情報学研究所が提供する論文情報ナビゲータ「CiNii(サイニィ)」は、専門家のためのインフラとして広く利用される一方で、一般のウェブ利用者にとっても価値ある情報のデータベースとして認識されつつある。本講演では、多くの人々にCiNiiの情報を届けるために行った各種の施策とその結果について紹介するとともに、その基本となった「学術ウェブ」のコンセプトについて述べる。


 

 

3.「インターンシップと産学連携の可能性」


 

現在,産学連携の新たな枠組みとしてインターンシップ制度が注目されています.従来は学生の研修という意味合いが強かったものですが,最近では企業の研究活動の一部として位置付けられていることもしばしばあります.本セッションでは,インターンシップを導入している代表的な企業から,その概要と今後の構想について発表いただきます.公野昇氏(MicrosoftResearch Asia),伊藤豪浩氏(株式会社ミクシィ),鬼塚真氏(NTTサイバースペース研究所)の他,実際にインターンシップを経験した方々からも,その体験談と成果をご発表いただき,さらに,産学連携という角度からインターンシップの問題点,および産学連携の枠組みとしてインターンシップ制度の今後の課題について討論を行います.

 

 
 ■ 公野 昇 氏 マイクロソフトリサーチアジア

略歴:東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻修士課程修了。株式会社東北新社等にて、映像コンテンツ事業のマーケティング、商品開発を担当。独立行政法人科学技術振興機構にて戦略的創造研究推進事業(CREST)、科学技術振興調整費等を担当。同経営企画部を経て、2008年マイクロソフト入社。マイクロソフトリサーチアジア、ユニバーシティリレーションズで日本地区担当マネジャーとして、産学連携のプログラムを運営。

題目:「MSRでのインターンシップについて」


 

 
 ■ 鬼塚 真 氏 日本電信電話株式会社 NTTサイバースペース研究所

略歴:1991年東京工業大学工学部情報工学科卒業.同年,日本電信電話(株)入社.2000〜2001年ワシントン州立大学客員研究員.現在,日本電信電話(株)サイバースペース研究所主幹研究員.博士(工学). これまでデータベース管理システム,XMLデータベース・ストリームなどの研究開発に従事.現在は,大規模分散環境におけるデータベース・分析処理,ソーシャルネットワークに関する研究開発に取り組んでいる.

題目:「NTT研究所におけるデータベース系基盤技術・Web 検索技術に関わる取り組みとインターンシップについて」


 

 
 ■ 伊藤 豪浩 氏 株式会社ミクシィ

略歴:1975年東京都生まれ. 00年組込ソフトウェア開発会社に入社. 以後,新卒・中途採用などを行う人事職に従事. 08年に株式会社ミクシィ入社. 現在,人事部採用・育成グループ新卒採用プロジェクトリーダーを担当.

題目:「ミクシィにおけるインターンシップの取り組み」


 

 
 ■ 岡 瑞起 氏 東京大学 知の構造化センター

略歴:1980年茨城県つくば市生.博士(工学).2008年筑波大学大学院システム情報工学研究科修了.博士課程時代,Google本社(Mountain View, USA), Microsoft Research Asia(北京,中国)でのインターンシップを経験.2008年4月より,東京大学知の構 造化センターにて,特任研究員


 

 
 ■ 荒瀬 由紀 氏 大阪大学大学院情報科学研究科

略歴:2006年大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科卒業.現在,同大学院情報科学研究科博士後期課程在学中.2008年5月から11か月間,Microsoft Research Asia ・WebSearch & Miningグループにてインターンを経験.地理情報マイニング,携帯電話上での情報提示,モバイルコンピューティングに興味を持つ.


 

 
 ■ 小町 守 氏 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程3年

略歴:2005年東京大学教養学部基礎科学科科学史・科学哲学分科卒.2007年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了.同年後期課程に進学.修士(工学).日本学術振興会特別研究員(DC2).大規模データを用いた意味解析に関心がある.言語処理学会第14回年次大会最優秀発表賞受賞.NTTサイバースペース研究所,Microsoft Research,Apple Inc.にてインターンシップを行う.


 

 
◆ パネルコーディネータ 
  角谷 和俊 氏 兵庫県立大学

略歴:1988年神戸大学大学院工学研究科(修士課程)修了.同年松下電器産業株式会社(技術本部)入社,1999年神戸大学都市安全研究センター講師/助教授,2001年京都大学大学院情報学研究科助教授を経て2004年より現職.博士(工学). 日本データベース学会,情報処理学会,電子情報通信学会,ACM,IEEEComputer Society会員.2007年度より情報処理学会データベースシステム研究会主査.情報処理学会論文誌データベース 共同編集員長.


 

WebDB Forum 2009