招待セッション・特別セッション

A7:招待講演セッション「残す.伝える.未来のために」3/4(月) 14:15~15:45

趣旨:東日本大震災において被災地は甚大な被害を受けましたが, 復興はもちろんのこと次代に向けて記録を残すということも重要な 課題となっています.本セッションでは,最前線でこの課題に取り組んで いらっしゃる3名の方をお招きし,その取り組みについてご講演いただきます.

  • 総合司会:中野美由紀(東京大学)
  • コーディネータ・パネル司会:岡本真(ARG)

デジタルアーカイブで震災をどう記録し、どう伝えるのか
「NHK東日本大震災アーカイブス」のこころみ

講演概要: 2011年3月11日の地震発生と同時に、NHKは緊急報道に取り組み、その後は、地震や津波のメカニズムや、発災時の人々の行動心理を分析する、また、復興の課題を追求するなどを始め、地域の復興支援をねらいにした芸能番組も含めて、さまざまなテーマや視点で番組を作り、放送を出し続けている。 一方、放送した番組や撮影素材を活用した「NHK東日本大震災アーカイブス」と名付けたインターネットへの取り組みも行っている。 ネットの特性を生かしたもので、震災の記録を普遍化し、今後にどこでも起こりうる災害にも備えるたこともねらいにした。 制作の経緯から、震災を伝えていくためにどのような試みを続けているのかを述べたい。
講演者:宮本聖二 氏 (NHK知財展開センターアーカイブス部)
1981年 早稲田大学法学部卒業後NHK入局
鹿児島、沖縄放送局、報道局アジアセンター、「おはよう日本」などでディレクター、プロデューサーとして ニュース報道番組・ドキュメンタリーなどを制作。
民間企業に出向してTV番組やアニメなどの海外販売担当、編成局で海外から購入番組や共同制作を担当
国際テレビアーカイブス連盟理事(2010年~)

国立国会図書館と震災 - NDL東日本大震災アーカイブの取り組みを中心に

講演概要: 東日本大震災の被害の記録、復興で得られた教訓などを失わないために、国立国会図書館(NDL)は関係機関と協力し、国を挙げた資料収集事業を進めている。 本事業で収集した資料への一元的なアクセスを目的とした「NDL東日本大震災アーカイブ」を総務省と共同で開発し、3月上旬に公開予定である。 本講演では、公開を目前に控えた「NDL東日本大震災アーカイブ」の目的と機能、および開発の過程で明らかとなった課題について述べ、収集した資料を復興に役立てる展望を語る。
講演者:北島顕正 氏 (国立国会図書館電子情報部次世代システム開発研究室)
2008年大阪大学大学院理学研究科物理学専攻博士前期課程修了。 博士後期課程に進学し、稀な事象のサンプリングに関する研究を行ったのち、2012年4月より国立国会図書館司書。 電子情報部電子情報サービス課次世代システム開発研究室に所属し、NDL東日本大震災アーカイブの開発に従事。

福島で考えること-震災と原発-

講演概要: 福島県は、東日本大震災の事実を記録し、その教訓を次世代に伝えるため、「東日本大震災等記録保存活用事業」に着手した。 被災者や支援者の証言を映像記録に残すとともに、写真、動画、手記、文集、配布資料、貼り紙、被災者間の連絡紙など、東日本大震災に関係する資料の収集を進めている。 記憶を風化させないだけではなく、今なお進行している災害の事実を記録することや、災害対策に関する歴史資料の掘り起しなど、すべてのアーカイブを集約する機能体が必要と考えている。
講演者:本間宏 氏 (福島県歴史資料館)
1962年秋田市生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒。 財団法人福島県文化振興財団(福島県歴史資料館指定管理者)歴史資料課主幹。 東日本大震災で散逸の危機にある歴史遺産の保護に携わるほか、震災関連資料の収集や被災者証言を記録する業務に従事している。 主な著作は『直江兼続と関ヶ原』(共著:福島県文化振興事業団2011)、『被災地の博物館に聞く』(共著:吉川弘文館2012)など。

A6: 特別セッション「クラウドソーシング」3/4(月)12:30~14:00

趣旨:計算機ネットワーク等を通じて不特定多数の人々に仕事を委託する "クラウドソーシング"は近年の重要なトレンドの一つであることは 間違いありません. しかし,本当に重要な問題は何なのか,アカデミアはこの分野で何を行っているか,あまり知られていません. 本セッションでは,日本におけるクラウドソーシング実践と研究の第一人者をお招きし,アクセシビリティへの応用,実際のサービス,機械学習,メカニズムデザイン,ソフトウェア開発,データ工学研究などの視点から,この領域において何が起こっているか,我々は何をすべきか議論します.

  • 司会:森嶋厚行 (筑波大学)

講演「クラウドソーシングが実現するアクセシブルな社会」

講演概要: 画像・音声等の自動認識技術は視覚や聴覚に障がいのある人々の感覚を代行する手段として注目されてきたが、精度の問題から広く実用されるには至っていない。 そこで近年クラウドソーシングにより実用レベルの認識サービスを提供する研究が盛んになっている。 また、就労機会の限られた障がい者や高齢者に対しマイクロタスクを社会参加の第一歩として提供する研究も始まっている。 本講演では実際のサービス例を紹介しながら可能性と課題を探る。
講演者:高木啓伸 氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 アクセシビリティ・リサーチ担当部長)
1994年早稲田大学理工学部卒 2000年東京大学大学院理学系研究科博士
1999年日本IBM入社 以後、東京基礎研究所においてWebアクセシビリティを中心としたアクセシビリティ分野の研究開発に従事
2012年シニア・テクニカル・スタッフメンバー就任
現在、研究グループの技術リーダーおよび担当部長を務める
2009年情報処理学会喜安記念業績賞、2011年文部科学大臣表彰受賞
情報処理学会、ACM 会員 博士(理学)

日本におけるクラウドソーシングサービス紹介

Lancers
木下 慶 氏 (ランサーズ株式会社システム開発部 マネージャ)
1985年千葉県生まれ。筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻修了。 大学院修了後、株式会社NTTデータに入社。SEとして、OSSとオフショアリソースを活用したシステム開発に従事。 2012年、ランサーズ株式会社入社。同社運営サービスである「Lancers」の企画・開発、インフラ運用を担当。

Yahoo!クラウドソーシング
鈴木 康夫 氏(ヤフー株式会社コンシューマー事業カンパニー事業推進本部サービスマネージャー)
2005年7月ヤフーに入社。地域系サービス、コンシューマー系サービスの技術リーダーとして プログラム開発を行う。直近ではオークション、チャイナモールを担当。 2012年より、Yahoo!クラウドソーシングのサービスマネージャーとなる。
清水 伸幸 氏(Yahoo! JAPAN研究所)
2006年、ニューヨーク州立大学オルバニー校にて博士課程修了。 2007年より東京大学情報基盤センター特任助教。 2010年より同センター特任講師。 2011年よりYahoo! JAPAN研究所勤務。 クラウドソーシング企画、自然言語処理と機械学習の研究開発に従事。博士 (情報工学)。

パネル:「クラウドソーシング研究とサービス:なにが行われているか,何をすべきか」

パネル司会:櫻井祐子 氏 (九州大学)
1997年名古屋大学大学院多元数理科学研究科修士課程修了。 同年 日本電信電話株式会社に入社。 2007年より 日本学術振興会特別研究員 (RPD)。2009年よりヤフー株式会社。 2010年より科学技術振興機構ERATO研究員。 2011年より九州大学大学院システム情報科学研究院准教授。 マルチエージェントシステム、電子商取引に関する研究に従事。 博士 (工学)。

パネリスト

  • 小山聡 氏 (北海道大学)
  • 鹿島久嗣 氏 (東京大学)
  • 松原繁夫 氏 (京都大学)
  • 森嶋厚行 氏 (筑波大学)

(ディスカッションは全ての講演者を交えて行います)


パネリスト紹介(50音順)

小山聡 氏 (北海道大学)
1994年京都大学工学部数理工学科卒業、1996年同大学院工学研究科修士課程修了。 日本電信電話株式会社、京都大学大学院情報学研究科博士後期課程、同大学院助教などを経て、2009年より北海道大学大学院情報科学研究科准教授。 博士(情報学)。 主な研究分野は機械学習、データマイニング、情報検索など。 2005年度人工知能学会論文賞、2009年度日本データベース学会上林奨励賞受賞。

鹿島久嗣 氏 (東京大学)
1999年京都大学大学院工学研究科応用システム修士課程修了. 2007年京都大学大学院情報学研究科知能情報博士課程修了. 1999年から2009年までIBM 東京基礎研究所勤務. 2009年より東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻准教授. 機械学習,データマイニングの研究に従事.博士(情報学). 2009年情報処理学会 長尾真記念特別賞,2012年マイクロソフトリサーチ日本情報学研究賞等を受賞.

松原繁夫 氏 (京都大学)
1990年京都大学工学部精密工学科卒業.1992年同大学院工学研究科修士 課程修了.同年NTTに入社.2007年より京都大学情報学研究科社会情報学 専攻准教授.情報経済学の研究に従事.博士(情報学).2002年度人工 知能学会論文賞,2003年度情報処理学会研究開発奨励賞,2005年度日本 ソフトウェア科学会論文賞受賞.

A2: PhD招待セッション「ライジングスター2013」 3/3(日)14:45~16:15

趣旨: 本セッションでは,PhD在学中もしくは取得後数年に素晴らしい研究成果を挙げられご活躍の若手研究者の中から4名をお招きし,研究紹介を中心としたご講演をいただきます. プレゼンから学ぶも良し,日々の姿勢を学ぶも良し,若い皆さんが今後輝くためのヒントが隠されているはずです. DEIM2013の参加者から彼らに続くライジングスターが現れることを期待しています!

  • 司会:原隆浩(大阪大学)

インターネットにおけるユーザフレンドリーな情報取得

講演概要: インターネットから情報を取得することは非常に便利である一方、ユーザによっては必要な情報を探し出すことが困難であったり、情報の取得に伴うプライバシ侵害などの問題が起きる場合も考えられる。 このような問題に対してこれまでに取り組んできた研究として、①子供によるWeb検索の支援、②Web検索における多様な検索要求の支援、③位置情報サービス利用時のプライバシの保護について紹介する。 また、そのような研究に携わる中で考えた博士後期時代における研究の取り組み方のポイントについても紹介する。
講演者:岩田麻佑 氏 (大阪大学)
2009年 大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科卒業。 2010年 大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻博士前期課程修了。 2011年10月~2012年3月 Miscrosoft Research Asia Internship。 2012年~ 日本学術振興会 特別研究員(DC2)。 現在、大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻博士後期課程在学中。 Web情報および検索技術、モバイルコンピューティングに興味を持つ。

アナロジーに基づく情報検索 ―研究者と漫画家のアナロジーを例に―

講演概要: 知らない分野の情報を検索し理解することは難しい. これは,その分野について知識がなければ, 適切な質問(クエリ)が思いつかず,また,得られた情報(検索結果)をうまく解釈できないためである. 本講演では未知ドメインに対する新しい検索方法として,アナロジーに基づく情報検索について紹介する. 特に「研究者は科学分野における漫画家である」というアナロジーを例に挙げる.
講演者:加藤誠 氏 (京都大学)
2008年 京都大学工学部情報学科 卒業. 2009年 同大学大学院情報学研究科修士課程 修了. 2012年 同大学大学院情報学研究科博士後期課程 修了. 現在,京都大学大学院 情報学研究科 特定助教.博士(情報学). 情報検索,特に,検索モデル,Webマイニング,対話的情報検索の研究に従事. 情報処理学会,日本データベース学会,ACM各会員.

使われるデータベース技術を目指して

講演概要: deim 2013 に参加する博士課程後期の方や博士課程後期に進学希望の方などが楽しく研究活動を行っていくためには,自分の研究に対する思いをしっかり持つことが重要だと思います. 研究に対する思いは人それぞれだとは思いますが,本講演では人に使われる技術を作ることの重要性について,今までの経歴や研究テーマを紹介していきながら伝えていきたいと思います.
講演者:藤原靖宏 氏 (NTT)
2001年早稲田大学理工学部電気電子情報工学科卒業. 2003年同大学大学院理工学研究科修士課程修了. 2003年日本電信電話株式会社入社. 2011年東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程修了, 現在,NTT ソフトウェアイノベーションセンタ研究員. 博士(情報理工学). 時系列データ処理およびグラフマイニングの研究開発に従事. 電子情報通信学会,情報処理学会,日本データベース学会各会員.

大規模時系列データのためのモデル学習とイベント予測

講演概要: 大規模時系列データは,産業,金融をはじめとする様々な分野で大量に発生している. これらのデータを解析することで,実世界行動支援のための有用な情報を発見することができる. 大量のデータに対する解析処理についてはデータマイニングの分野で様々な研究がなされているが,その一方で,大規模時系列データに対する統計的学習手法に関する研究は非常に少ない. そこで我々の研究では主に時系列データにおける統計的データマイニング法のための効果的,効率的なアルゴリズムを提案することを目的とする. より具体的には,大規模時系列データを,(a) 多次元時系列データ,(b) 時系列分布データ,(c) 時系列カテゴリカルデータ(テンソル)の3つの視点から分析,考察すると同時に,これらのデータのための実用的なアプリケーションおよびアルゴリズムの提案を目指す.
講演者:松原靖子 氏 (NTT)
2006年お茶の水女子大学理学部情報科学科卒業. 2009年同大学院人間文化創成科学研究科理学専攻博士前期課程修了. 2012年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程修了. 情報学博士.データストリーム処理, 大規模時系列データマイニングに関する研究に従事.日本データベース学会会員.